二振りが後世にまで伝わった「静御前」の薙刀、どっちが本物?前田利常の答えがコチラ (4/5ページ)
逆に将軍家のご機嫌取りで「ウチのは偽物で、そちらこそ本物でございます」なんて言ったら、そんな偽物を後生大事にとっておいた前田家の威信にかかわります。
なので、利常はサラリと答えました。
「どっちも本物に決まっています。なぜなら静御前は常に義経のそばに仕えていたので、持っていた薙刀が一振りとは限らないからです。むしろ彼女ほどの達人なら、複数用意するくらいの心得はあるでしょう」
……(前略)……静は義経の妾なり、定めて其時は義経座右にありし長刀を持て働きたるなるべし。義経一振の長刀のみならんや、幾振もあるべきことなれば、是等に限るべからず……(後略)……
※『名将言行録』より
静御前は義経の愛妾としてそばに仕えていたのですから、いざ有事には薙刀をとって義経を護衛しました。
それも義経の一振りだけでなく、彼女自身の愛刀や予備など何振りも用意していたはず。だから今回の二振りに限らず、こういう貴重なものが永く伝えられてきたのです。