おバカキャラを演じていても…紫式部の才能に嫉妬した同僚が彼女につけたあだ名がこコチラ【光る君へ】 (4/5ページ)
吟光「紫式部ノ略伝」
また中宮陛下(藤原彰子)にせがまれて漢詩の極秘講義を行うなど、なるべく周囲にバレないよう気をもんだと言います。
「あの内侍が知ったら、何を言いふらすか分かったモンじゃない……やれやれ」
【原文】はた、かのものいひの内侍は、え聞かざるべし。知りたらば、いかにそしりはべらむものと、すべて世の中ことわざしげく憂きものにはべりけり。
まったく世の中はわずらわしい……今日も紫式部は嘆息するのでした。
終わりに左衛門の内侍といふ人はべり。あやしうすずろによからず思ひけるも、え知りはべらぬ、心憂きしりうごとの、おほう聞こえはべりし。
内裏のうへの源氏の物語人に読ませたまひつつ聞こしめしけるに、「この人は日本紀をこそ読みたるべけれ。まことに才あるべし」と、のたまはせけるを、ふと推しはかりに、「いみじうなむ才がある」と、殿上人などにいひ散らして、日本紀の御局とぞつけたりける、いとをかしくぞはべる。このふる里の女の前にてだに、つつみはべるものを、さるところにて才さかし出ではべらむよ。
この式部の丞といふ人の、童にて書読みはべりし時、聞きならひつつ、かの人はおそう読みとり、忘るるところをも、あやしきまでぞさとくはべりしかば、書に心入れたる親は、「口惜しう、男子にて持たらぬこそ幸ひなかりけれ」とぞ、つねに嘆かれはべりし。
それを、「をのこだに才がりぬる人は、いかにぞや、はなやかならずのみはべるめるよ」と。やうやう人のいふも聞きとめて後、一といふ文字をだに書きわたしはべらず、いとてづつに、あさましくはべり。