おバカキャラを演じていても…紫式部の才能に嫉妬した同僚が彼女につけたあだ名がこコチラ【光る君へ】 (5/5ページ)

Japaaan

読みし書などいひけむもの、目にもとどめずなりてはべりしに、いよいよ、かかること聞きはべりしかば、いかに人も伝へ聞きてにくむらむと、恥づかしさに、御屏風の上に書きたることをだに読まぬ顔をしはべりしを、宮の、御前にて、文集のところどころ読ませたまひなどして、さるさまのこと知ろしめさまほしげにおぼいたりしかば、いとしのびて、人のさぶらはぬもののひまひまに、をととしの夏ごろより、楽府といふ書二巻をぞ、しどけなながら教へたてきこえさせてはべる、隠しはべり。宮もしのびきせたまひしかど、殿もうちもけしきを知りたまひて、御書などもをめでたう書かせたまひてぞ、殿はたてまつらせたまふ。まことにかう読ませたまひなどすること、はた、かのものいひの内侍は、え聞かざるべし。知りたらば、いかにそしりはべらむものと、すべて世の中ことわざしげく憂きものにはべりけり。

※『紫式部日記』五一

古来「能ある鷹は爪を隠す」とはよく言ったものですが、紫式部の場合はそれがちょっと極端だったように思います。

「まぁ、言いたい人には言わせておきましょう」…世評を気にせず、創作に打ち込む紫式部。月岡芳年「月百姿 石山月」

間違いなく天才ではあるのでしょうが、ちょっと感覚が紙一重というかズレていると言うか……そこがまた彼女の魅力でもあるのでしょうが。

NHK大河ドラマ「光る君へ」では、このエピソードも出てくるのか、今から楽しみにしています。

※参考文献:

石井文夫ら訳・校註『新編日本古典文学全集26 和泉式部日記 紫式部日記 更級日記 讃岐典侍日記』小学館、1994年9月

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