『逝ってしまった君へ』出版から1年。あさのますみが語る大切な人の「死」を巡る思い (3/6ページ)

新刊JP

そして、ウェブでの掲載ができなくなってしまったとき、実は10数社から「うちで出しませんか?」という連絡をいただきまして。

――その中で小学館を選んだのはどういう理由だったのですか?

あさの:私がちょうど「cakes」と揉めている時に、夫(漫画家の畑健二郎さん)の担当編集者だった小学館の原さんに相談をしていたんです。その中で、私が書いた文章を読んでくださって、「これをぜひ形にしたいので、よかったら一緒にやりませんか?」と言っていただきました。

ただ、原さんは漫画の編集者で一般書を担当したことがなかったので、大丈夫なのかなと思って(笑)。正直に10数社から声がかかっていることを話したうえで、「大丈夫ですか?」と聞いたのですが、原さんは怯まずに「頑張ります」と熱意を見せてくれたんです。

夫からは「熱意のある人と組むのが、本にとって一番幸せだ」と言われましたし、私もこれだけ熱意を見せて「担当したい」と言ってくださる方がいるのは幸せだと思っていたので、原さんにお願いすることにしました。

――『逝ってしまった君へ』の文章は、あさのさんにとって特別なものだと思うのですが、その文章が本として出版されることの意味についてどう捉えていましたか?

あさの:なぜこの文章を形にしたいと思ったかというと、自分が一番苦しかった時に、同じような経験をした人の話を聞きたかったからなんです。こういう時、どうしたらいいの。助けて欲しいのに、自分自身をどうやって救っていいのか分からない。そんな気持ちでした。

だから、私と同じように悲しい経験をして、誰かの話を聞きたいと思っている人に届けたいと思っていたのが一つです。もう一つは、この文章を読むことで、今、「君」と同じような気持ちでいる人が、少しでも何か違う選択肢が浮かぶ、そのきっかけになるかもしれないとも思いました。そういうこともあって、手元に置いて何回も読み返せる「本」という形にしたかったんです。

もちろん、つらい記憶がフィードバックしてしまうという声もいただいています。

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