火星から持ち帰ったサンプルが地球を病原菌で汚染する危険性を指摘する科学者 (4/6ページ)
彼がこのような発言をするのは、米国の惑星科学者らの間で、MSRの実現性について危機感が高まっていることを反映している。
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・立ちはだかるコストの壁
例えば、4月に公開された「全米アカデミーズ」の報告書では、2031年までにミッションを遂行できるよう、サンプルを保管する施設の準備を進めるよう促している。
報告書の作成委員会で副議長を務めたアリゾナ州立大学のフィリップ・クリステンセン教授によると、報告書では「豪華で、複雑で、機器が完備された施設を”作らないこと”」を推奨しているという。できる限りシンプルなものにするべきだというのだ。
だが、簡素な施設で済ませれば、計画は早く進むかもしれないが、代償として不確かさというコストがかかると指摘するのは、宇宙生物学者ジョン・ランメル氏だ。
コストを抑えるあまり、生命の痕跡があるかどうか適切な検査ができなくなれば、逆効果になってしまう。
より根本的なこととして、火星の岩石を持ち込んだことで地球が汚染されるリスクをはっきり評価できるほど、確かなことがわかっていないという問題もある。
それを知るために火星のサンプルが求められているのである。
だが、地球の生命すら意外な発見がいくつもなされている。ましてや火星の生命ならどうだろうか? 「ならば、注意深くなろうと考えるべきではないだろうか?」と、ランメル氏は言う。