仏にも存在する階級制度 最下層の仏である明王や天部は凡人の味方 (2/3ページ)

心に残る家族葬

大黒とは「マハーカーラ(暗黒)」を意味する。

「弁天さま」の弁財天と宇賀神なる神が習合した宇賀弁財天という神がいる。この宇賀神なる神は翁の顔に蛇の身体という人頭蛇身の異形の神であるが、その真言を唱えればあらゆる願いが叶うという。蛇は絶大な力を持つとされ蛇体の姿をした神はかなり多い。荼吉尼天にも蛇が巻き付いている。このように天部は出自が悪神であったり異形の姿であったり、仏神の階級では最下層の存在だが、それだけ阿弥陀如来や大日如来より人間に近く、安全、安産、金運、出世など、現世利益の面で信仰を集めてきた。

■明王・天部のご利益と祟り

仏教(主に密教系)には荼吉尼天法、孔雀明王法など、天部・明王の力を借りた様々な修法が伝えられた。秘仏「大元帥明王」を本尊とし「敵国降伏」を祈願する真言密教の秘儀「大元帥法」は、平将門の乱、元寇、日露戦争などに効力を発揮したという。またこの修法で第二次大戦中にルーズベルト大統領を呪殺したなどいうオカルトめいた怪談も語られている。大元帥明王も子供を喰らう悪鬼だったが、仏教にふれて改心して国土守護の明王となった。やはり蛇を纏い、忿怒の形相で二匹の邪鬼を踏みつけている。
天部・明王を戴くこうした修法は、仏教本来の現世の執着を断ち、悟りに至る道とは遠いと思える。しかし欲望を叶えるための秘術は現世に生きる凡人の正直な思いだろう。市井の庶民も同様の事をやっている。例えば受験合格祈願とはつまりは競争相手に勝つための祈願である。これはそうと意識はしなくとも、敵を調伏するための呪いと同じことといえる。

強烈な力を持つとされる天部・明王の神々だが、その代わりに祀り方を間違ったり、無礼を働くと祟りがあるとして恐れられた。「聖天さん」こと歓喜天は天部の中でも凄まじいご利益があるとされる。その反面修法に少しでも間違いがあったりすると命にも関わるという。天部は如来や菩薩に比べて人間に近いので決して寛容ではない。そして人間に近いからこそ、安産祈願や受験合格祈願といった具体的な願い事に力を発揮してくれるとされたのである。

これに対して広大な慈悲を持つ阿弥陀如来や、宇宙の真理そのものである大日如来、天照大神の祟りなどという話は聞いたことがない。一休が蓮如を訪ねた話がある。

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