囲碁を知らない人にも読んでほしい傑作『群舞のペア碁』「ペア碁」を通じてつながる群像! (2/3ページ)

日刊大衆

しかも単にキャラが個性的なだけで終わるのではなく、それぞれの抱える想いがていねいに描かれていたり、キャラ同士の掛け合わせで新たなドラマが生み出されたりしていくのも見ごたえがある。

■「ペア碁」という競技そのものの魅力にも心惹かれる!

 そして本作の題材となっているペア碁という競技そのものも魅力的だ。ペア碁は男女のペア同士が4人で交互に碁を打っていくのだが、対局中の相談は禁止。つまりペアは無言のうちに息を合わせ、お互いにフォローしあう必要がある。だからこそ通常の囲碁での強さがそのまま反映されるわけではなく、組んだ相手との相性によって実力が底上げされたり、逆に足を引っ張り合ってしまったりすることもあるのが面白いところだ。

 強い人同士だけでなく、強い人と初心者が組んで戦えるのもペア碁だからこそ。棋士としての実力だけでいえば対等ではないふたりが、思わぬコンビネーションを発揮することもあるという。どんな実力の人でも一緒になって楽しめるペア碁は、初心者が囲碁の魅力を知るための入り口としても最高なのだ。

 ■登場人物それぞれの“囲碁愛”“ペア碁愛”に魅せられる!

 競技である以上、ペア碁にはもちろん勝敗がある。しかし冒頭で“究極の心の対話(コミュニケーション)”と打ち出されている通り、本作においてペア碁は単なる競技として以上に、人と人がつながる手段としても描かれている。

 群舞は、とある過去からコミュニケーションが苦手になってしまったのだが、囲碁を通じてはじめて人とつながれたと感じた経験を持つ。そして普通の囲碁では萎縮してしまう彼がのびのびと碁を打てるのが、ペア碁という場なのだ。

 群舞は勝敗より何より、いろんな人と碁を打って相手のことを知りたいという欲求に突き動かされている。今後の棋士人生がかかったペア碁の大会にて、二回戦で強敵ペアと当たってしまった際も、勝ち負けなど忘れて“あの人の事もっと知りたい…はやく…打ちたい…”とつぶやいていたのが印象的だった。

「囲碁を知らない人にも読んでほしい傑作『群舞のペア碁』「ペア碁」を通じてつながる群像!」のページです。デイリーニュースオンラインは、漫画(マンガ)カルチャーなどの最新ニュースを毎日配信しています。
ページの先頭へ戻る