守り本尊とその源流である十三仏信仰が日本人に与えた影響とは (1/2ページ)

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守り本尊とその源流である十三仏信仰が日本人に与えた影響とは

日本人の死生観、宗教観を語る上で仏教の影響はとてつもなく大きい。しかし難解な仏典や高尚な思想、著名な僧侶や寺院だけが仏教とは言えない。文字も読めず難解な教義などとは無縁の民衆の生活にも仏教は浸透し独自の信仰として根付いてきた。十三仏信仰や守り本尊もそのひとつである。

■守り本尊

人は何者かによって守られている安心感が欲しいものである。占星術の十二星座にはそれぞれ火星や木星などの守護星があり、生まれ月に由来する、いわゆる誕生石なども身に着けると利益があるとされている。「守り本尊」もそのひとつである。守り本尊は生まれ年の十二支に、それぞれ仏教の仏(如来、菩薩、明王)が、守り仏としてその人を守護してくれるとされる民間信仰である。十二支と守り仏の対応は以下の通り。

子・千手観音、丑/寅・虚空蔵菩薩、卯・文殊菩薩、辰&巳・普賢菩薩、午・勢至菩薩、未/申・大日如来、酉・不動明王、戌/亥・阿弥陀如来

守り本尊にはそれぞれ独自の真言(マントラ)がありこれを唱えたり、それぞれに縁のある日(縁日)に詣でることで功徳を頂けるという。

縁日はたとえば千手観音を本尊とした寺を詣でると、千手観音とつながりを深められる日で、それぞれの仏に決まった日が縁日として定められて賑わいを見せる。守り本尊の八仏は十三仏信仰が源流とされているが、守り本尊自体の成立はよくわかっていない。おそらく仏教、神道、陰陽道などが混交したり、民間信仰が混ざったものだと思われる。それでも多くの寺院で十三仏にまつわる縁日などが行われている。守り本尊の理屈で言えば、今年は寅年なので虚空蔵菩薩、来年は卯年で文殊菩薩が、日本を全体的に守護してくれる仏であるということになる。

■十三仏信仰

守り本尊の源流とされる十三仏信仰は、日本人の死生観、宗教観などに大きな影響を与えた。正月、彼岸、盆、葬儀・年忌法要といった日には、十三仏の掛け軸をかけ、十三仏の称名を行い、死者の供養をする風習が今も各地に残っている。例えば初七日に不動明王、三回忌に阿弥陀如来、十三回忌が大日如来といったように、各忌日の本尊として対応しており法要が営まれる。十三仏は室町時代にはほぼ成立したと考えられており、この頃十三仏の供養塔が各地に建立された。

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