異文化の中で生活をする。妻を亡くした62歳が一人で海外に渡航して得たもの (2/3ページ)
――現地で購入した食材を使って「キュウリ巻き」を作ったというエピソードもありましたよね。異文化の中で暮らすために必要なことはなんだと思いますか?
菊池:私たち日本人にとっての大きなハードルってやっぱり言語だと思うのですが、基本的に人と向き合うときは堂々とすることを心がけました。私がマルタの英語学校の寮に入ったときに出会ったのがIiker(イーカー)というトルコ人だったのですが、彼と私の英語レベルはほとんど同じで、悪戦苦闘はしたけれど彼の優しさは理解できたし、一緒に生活もできたんですよね。見つめ合ってそれで分かることもありました。
だから、言語も大事だけれど、それ以上にハートっていうんですかね。誠心誠意こちらの気持ちを伝えようと思って必死にアクションすると伝わると思うのです。マルタの学校寮で出会ったスペイン人のRojer(ロジャー)は、初対面の日本人に対してスペイン語で話しかけてくるんだけど、分からないながらもじっと顔を見て理解しようとすると、なんとなくこういうことが言いたいのかなというものが分かってくるんですよね。
――本を通して菊池さんの積極的な姿勢が見えます。年長者という理由もあると思うのですが、マルタの英語学校の寮では若者たちに騒音を注意したりしていますよね。
菊池:若者たちにこのじいさんはどんな風に見えているのかなと思ったりもするけれど、年長者という自分の立場だからこそ言えることもあるじゃないですか。
でも、そういう風にコミュニケーションを取っていって、若者たちは自分をリスペクトの目で見てくれていることを感じました。自分の注意に対して反抗するわけでもなく、ちゃんと聞き入れてくれて。もし、「なんだこのおじさん。俺らの楽しみを邪魔するんじゃねえよ」とまくし立てられたら、私はもうあそこにはいれなかったでしょうね(笑)。
あの場面は覚悟がいることでした。ただ、この後どうなるんだろうということを心配していたら動けないし、この後若者たちから総スカンを食らうことを恐れていたら、私も寝不足でどうしようもなくなっていただろうから見過ごせなかった。