水に浮かばないし沈まない。まったく新しいタイプの氷を作成。宇宙で自然形成されている可能性も (2/4ページ)
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不思議な氷を作るためのシェイカー「ボールミル」・固体でありながら結晶ではない氷
物質を構成する原子には、お決まりの並び方がある。例えば、食卓のお塩はナトリウムと塩素の原子が立方体に並んでできている。
普通の氷なら六角形で並んでいるので、雪の結晶は六角形になる。そしてほとんどの固体は、7種類の並び方のどれかでできている。
だが例外もある。それが原子が無秩序に並んでいる「アモルファス」というものだ。
身近なものとしては「ガラス」がよく知られている。ガラスは溶けた液体が急激に冷却されることで作られる。こうすると、原子がまとまる時間がないので、結晶でない固体(=アモルファス)になるのだ。
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液体の水に非常に近い分子構造をもつ新しい氷(左)と、通常の結晶質の氷(右)の比較
そして今回の氷も結晶化していない氷だ。じつは非結晶氷はまったく未知のものではなく、以前から2種類ほど知られていた。
1つは、液体の水よりも密度が低いもので、「低密度非結晶氷」という。もう1つは、水より密度が高いもので、「高密度非結晶氷」という。
ところが新たな氷の密度は、液体の水とおおむね同じくらいだ。低密度と高密度の中間にあるので「中密度非結晶氷」と名付けられている。そして、そのおかげで水に浮きも沈みもしない。