武田信玄の武力を支えたのは郷土料理「ほうとう」だった!現代にも通じるその栄養価を検証【後編】

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武田信玄の武力を支えたのは郷土料理「ほうとう」だった!現代にも通じるその栄養価を検証【後編】

味噌や山菜は高栄養食材

【前編】では、武田信玄が陣中食に「ほうとう」を採用したことについて、穀粉を兵糧とするのがいかに理にかなっていたかを解説しました。

武田信玄の武力を支えたのは郷土料理「ほうとう」だった!現代にも通じるその栄養価を検証【前編】

武田軍が採用した「ほうとう」の食材は、穀粉だけではありません。実はほうとうに含まれる味噌も、ビタミンやアミノ酸、ミネラルのみならず、人間の生命維持に欠かせない九種類の必須アミノ酸などが豊富に含まれた高栄養食材です。

また、その他にも、山育ちである武田軍のほうとうには特徴がありました。ここまでで紹介した生麺と味噌に、さらにキノコなどを含む山菜類を現場で収穫しては鍋に加えていたのです。

ほうとう鍋

動物性たんぱく質も忘れてはいけません。彼らは山の中でイノシシなどを捕まえて、一緒に調理していました。武田軍のほうとうは、まさに「山の幸」が盛りだくさんだったのです。

このように、食材を現地調達したのもまた、十分な米が確保できないがゆえの「苦肉の策」だったのかも知れません。しかしここまでのラインナップだけでも、栄養面ではとても理想的であることが分かるでしょう。

ジビエの健康効果も

まず、キノコや山菜からはビタミン類が摂取できます。そしてイノシシ肉(今でいうジビエ)の脂、たんぱく質や麺類を構成する炭水化物が含まれた温かい鍋料理は、戦場で戦う武人たちにとっては理想的な陣中食だと言えます。

イノシシ肉(ぼたん肉)を使った鍋料理

特に注目に値するのがイノシシ肉で、こうしたジビエの脂分には、男性ホルモンであるテストステロンの量を人間の体内で増やす成分が含まれています。さらに、男性ホルモンの代謝に欠かせない亜鉛も豊富で、男性が基本だった戦国時代の武士たちにとっては、頼もしい栄養源だったに違いありません。

ちなみに男性ホルモンというと男性だけに関係する話に思われるかも知れませんが、現代は、男女に関係なく、男性ホルモンが多いと「老後うつ」のリスクが減少するという説もあるのです。

しかもそこに、各種ビタミン類やアミノ酸が含まれている上に、もともと鍋料理であるほうとうは汁にとろみがついているので、体を温める効果も期待できるわけです。ほうとうを食べた武田軍は、さぞかし戦闘意欲が漲っていたことでしょう。

参考資料
永山久夫「賢食物語第13話 賢人たちの食術 「武田信玄」と「ほうとう」」

日本の文化と「今」をつなぐ - Japaaan

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