日本人イコール「生食民族」ではない。かつて日本人は「生野菜」を食べていなかった!?

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日本人イコール「生食民族」ではない。かつて日本人は「生野菜」を食べていなかった!?

日本人イコール「生食民族」ではない

日本人は世界的にも珍しい、魚を生で食べるのが当たり前の民族です。しかし、だからと言って何でもかんでも火を通さずに食べていたわけではありません。

意外に思われるかも知れませんが、かつて日本にはサラダのような形で生野菜を食べる文化は存在しませんでした。

大根おろしや山芋、薬味のネギなどは生で食べることはあっても、それはごく一部だったのです。

大根おろし

キャベツと日本人

ところで、日本人と生野菜の関係を示す好例がキャベツです。

現代は、キャベツといえば千切りキャベツなど、生野菜の代表格というイメージがありますが、実は今のように生で食べるようになったのは明治時代のこと。銀座の洋食店がカツレツに千切りキャベツを添えたのがきっかけでした。

もともとキャベツは最古の野菜と言われており、その起源は紀元前のヨーロッパにあります。

キャベツ

キャベツの先祖はケールという一枚の葉の野菜で、これは古代エジプトでは薬として、またヨーロッパでは煮たり甘味を加えたりしてデザートとして楽しまれていました。現在のようにキャベツが球体になったのは13世紀頃と言われています。

日本には江戸時代末期に伝わっており、当初は葉牡丹や甘藍、玉葉などと呼ばれていました。しかし文明開化の時代になるまで、日本人はこれを生で食べる習慣を持っていなかったのです。

なぜ日本人は生野菜を避けたのか

ではなぜ、昔の日本人は野菜を生でバリバリ食べる習慣を持っていなかったのでしょうか。

それはいくつかの理由が考えられますが、まず単純に、昔の野菜は今ほどおいしくなかったことが挙げられます。

今の野菜は品種改良が進み、甘くて食べやすいものがどんどん登場しています。しかし、少し年上の人なら覚えがあるかも知れませんが、ほんの少し前の生野菜はえぐみが強かったりして食べにくかったものです。

現代はかなりのスピードで野菜の品種改良が進んでいるので、江戸時代頃の生野菜の味がどうだったかは推して知るべしでしょう。

たくさんの野菜

また、衛生的な問題もありました。かつて、畑作では人糞などが肥料に使われていたので、畑で採れた野菜を生で食べるのは危険だったことでしょう。

人体にとって危険、という話になると、シュウ酸という成分も見逃せません。これは尿路結石の原因になる成分で、一部の生野菜に多く含まれています(今の生野菜は、品種改良によって含有量もかなり減っています)。

シュウ酸の摂取量を減らすには、野菜などは茹でて食べるのがポイントです。アク抜きが大切な理由もこれで、シュウ酸はお湯に溶け出す性質を持っているからです。

もちろん江戸時代の人はそんな知識は持っていなかったことでしょう。しかし、生野菜を食べることは身体によくない、ということを経験則として知っていたのかも知れません。

参考資料

農林水産省
ドリームスペル Dreamspll
オリーブオイルをひとまわし
GetNavi web ゲットナビ

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