どうせ死ぬなら父の手で……武士道バイブル『葉隠』が伝える、我が子の首をはねた森門兵衛のエピソード (1/2ページ)

Japaaan

どうせ死ぬなら父の手で……武士道バイブル『葉隠』が伝える、我が子の首をはねた森門兵衛のエピソード

もし息子が罪を犯したら、あなたはどうしますか?

冤罪を信じて匿う、あるいは逃がすでしょうか。それとも、公正な審判に委ねるため自首を促すでしょうか。抵抗するなら、取り押さえて官憲に突き出すかも知れませんね。

何とか守ってやりたい親心は古今東西変わりませんが、時には我が手で始末してやるのも愛情の一つと言えます。

今回は江戸時代の武士道バイブル『葉隠(はがくれ。葉隠聞書)』より、我が手で息子を葬ったとある武士の物語を紹介。

皆さんなら、こういう場合はどうしますか?

冷え腹を切り、人手に懸らんよりは……

三〇 森門兵衛、倅打ち捨て候事 門兵衛嫡子何がし喧嘩いたし、手負ひ候て参り候に付、「相手を何といたし候や。」と尋ね候へば、切り伏せ候由申し候。「止めをさし候や。」と申し候へば、「成程止めもさし候」由申し候。その時、門兵衛申し候は、「よく仕舞ひ申し候へば、この上存じ残す事はあるまじ。唯今遁れ候ても、いづれ切腹仕る事に候。冷え腹を切り、人手に懸らんよりは、今親の手に懸り候へ。」と申し、即時に介錯仕り候由。

※『葉隠聞書』第九巻より

【意訳】森門兵衛(もり もんべゑ)が我が子を斬り捨てたこと。

門兵衛の嫡男ナニガシが喧嘩によって負傷したと言うので「相手はどうした」と尋ねたところ「斬り伏せました」との答え。

「とどめは刺したのか」と重ねて尋ねると「きちんと刺しました」という事である。

門兵衛は「よくやった。きちんと相手を討ち果たしたのだから、もはや未練はあるまい。今逃げたところで切腹は免れぬ。他人の手にかかるよりも、父がこの手で殺してやろう」と言うなり、我が子の首を刎ねたそうな。

……喧嘩をした者は、その理非を問わず死罪に処する。いわゆる喧嘩両成敗の禁を犯した我が子に対し、森門兵衛は最大限の愛情をかけたのでした。

ちなみに冷え腹とは、合戦における自決や主君を諫めるなど、熱い想いがこもっていない状態の腹。

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