「嫌いなものは嫌いなまま凍結してもいい」津村記久子さんインタビュー(2) (2/4ページ)
津村:鳥がしゃべっている小説が毎日の夕刊に載っているわけですからね。読んでくれた方はどんな感想を持ったのか(笑)。
――理佐はお母さんの再婚相手への反感もあって、男性への苦手意識があるように感じましたが、それが徐々に変わっていきます。その意味で成長の物語だと言えますが、一方で「再生」の物語でもありますね。
津村:再生したのは聡ですね。何もかもどうでもいいと思っていた彼も、いつしか変わっていきます。
――劇的な変化ではなく、人と人が出会ったことによってじわじわと変わっていくのは希望として読めました。
津村:何かきっかけがあって変わるわけではなくて、毎日の人とのかかわりの中で少しずつ変わっていく、という姿ですね。理佐や律だけでなく、周りにいる大人たちも変わっていきます。誰か一人を救うとか、何かを犠牲にして救うのではなくて、少しずつの親切で資源を持たない人が生きていく話にしたかったんです。
――本筋とは離れますが、作中によく音楽が出てくるのが印象的でした。
津村:私は音楽が好きですし、音楽がわかればその時代のことは何となく実感を持って書けるんです。
――ヨウムのネネがマイケル・スタイプ(R.E.M)の声で歌いだすというのがおもしろかったです。
津村:マイケル・スタイプ自身がどことなく鳥っぽい声といいますか、ヨウムがマネしやすい声なんじゃないかと思って。アンソニー・キーディス(レッド・ホット・チリ・ペッパーズ)の声もたぶんマネしやすいと思います。でもカート・コバーン(NIRVANA)の声はたぶんマネできない(笑)。ネネが誰の声を気に入るかは、鳥の気持ちになって選別しました。
――理佐がレッド・ホット・チリ・ペッパーズを嫌いなのがいいですね。見た目的に男性的なバンドですから、男性に苦手意識を持っている理佐が苦手に思うのはすごくよくわかります。
津村:そうですね。