大注目の青春小説『成瀬は天下を取りにいく』 主人公の人気に作者は「意外です」 (4/5ページ)

新刊JP

「ありがとう西武大津店」「膳所から来ました」という冒頭2編の語り手であり、成瀬の幼馴染みです。自分でも「わたしは成瀬に熱いのだ」と言っていますが、島崎についてはどんなキャラクターとして書いたのでしょうか。

宮島:島崎は普通の子ですね。この物語を書き始めたときに、成瀬は主人公ではあるのだけど、成瀬の視点で書いても面白くはならないと考えたんです。そして、成瀬の面白さを書きあらわすための視点人物が必要で、それを島崎という普通の子にやってほしいと思ったんですね。その構図が功を奏した形になりました。

――芯のブレない成瀬と、成瀬を理解してフォローする島崎という関係がコミカルで面白かったです。ただ、その関係が逆転してしまうのが最後の「ときめき江州音頭(ごうしゅうおんど)」です。あのときだけ、成瀬がかなり隙を見せるように感じます。

宮島:そうです。この章は成瀬を視点人物に置くかどうかで迷ったんです。最後まで成瀬の本心を見せないほうがいいんじゃないかという話もあったんですけど、あえてそれをやってみたいと思って。

また、もう一つ、編集者との話の中で、成瀬が挫折するような話があるといいねということになったんです。ならば、成瀬にとって何が挫折なのか、何が一番嫌なのかを考えたときに、それは島崎を失うことなんじゃないかと。そこから、最後の「ときめき江州音頭」ができていきました。

――宮島さんは物語の中でいろいろな人の視点を通して成瀬を描いてきたわけですが、改めて成瀬あかりはどんなキャラクターだと思いますか?

宮島:難しいですよね。先ほど言ったように、特別際立った存在ではないと思うし、捉えどころがないキャラクターだなと思っています。でも、読んでいただいた方々のコメントを見ると、成瀬が神格化されているような印象を受けるので、そこは作者としてはやっぱり違和感があります。

どちらかというと成瀬は自分が生んだ子どもという感覚です。外ではすごい子だと言われるけど、母親から見れば普通の子というか。

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