大注目の青春小説『成瀬は天下を取りにいく』 主人公の人気に作者は「意外です」 (1/5ページ)
今、旋風を巻き起こしている青春小説がある。
舞台は滋賀県大津市。「かつてなく最高の主人公」成瀬あかりは妙にスケールの大きなことを言う女の子だ。
閉店のカウントダウンが進む地域のシンボル・西武大津店に幼馴染みの島崎あかりとともに通い続け、西武ライオンズのユニフォームを着てテレビ中継に映る。そして西武大津店の閉店を見届けると「将来、わたしが大津にデパートを建てる」と宣言する。
『成瀬は天下を取りにいく』(新潮社刊)をすでに読んだのであれば、成瀬のキャラクターに心を鷲掴みにされているはずだ。そして、魅力的すぎる主人公と、そんな主人公に振り回されながらも、自分の青春を謳歌する登場人物たちの姿を通して、自分の青春時代を思い出すかもしれない。
著者の宮島未奈さんは大津市在住。女による女のためのR-18文学賞(以下、R-18文学賞)を受賞し、本作でデビューした。今回はそんな宮島さんに、2023年上半期を代表する一冊となった本作についてお話をうかがった。
(インタビュー・記事/金井元貴)
■主人公・成瀬あかりは「ここまで人気が出るのが意外だった」――本作では滋賀県大津市のいろいろな場所がふんだんに使われています。小説を書き始めるときから大津を舞台にしようと決めていたのですか?
宮島:いえ、最初から大津を舞台にしようと思っていたわけではないんです。もともとは女の子2人が夕方のテレビ中継に映りに行く話を書こうというところから始まっていて、じゃあどこからの中継にしようかと考えたときに、今私が住んでいる大津の中から西武大津店が浮かんだという流れですね。
――となると、大津という場所よりもキャラクターが先にあったわけですか?
宮島:そういうわけでもなく、その時点では成瀬あかりというキャラクターは決まっていませんでした。あったのは、女の子2人の話にしようということだけですね。成瀬のキャラクターは書きながら考えていきました。