昔より人の道徳観や倫理観が低下しているという考えは幻想であるという研究結果 (3/5ページ)
"昔は、夜、玄関のカギをかけなくても大丈夫だった"とか、"昔の政治家は信頼することができた"とよく言われました。しかし、多くの場合、そうした主張は裏づけがありません
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・過去70年のデータで検証
この推論の仮面をはぐため、マストロヤンニは、ピュー、ギャラップ、エコノミスト、ウォールストリートジャーナルなどの出版物を含む、主要な調査機関が提供する70年分のデータを調べた。
これは、およそ22万人のアメリカ人に、「人々のモラルが時代と共に変化したと思うか」、「どう変化したと思うか」について、質問したものだ。
質問の84%について、大多数のアメリカ人はモラルが悪くなったと答えたことを示していて、ほかの59ヶ国の同じ調査回答でも、同様の結果が得られていたことがわかった。
それでも、1965年から2020年までのほかの調査質問を調べたところ、今現在のモラル状況について評価してもらった450万人の回答者は、安定しているようで、モラルが時代と共にどんどん悪くなっているという考えを裏づけるものはほとんどなかった。
マストロヤンニとギルバートは、論文の中でこう述べている。
世界中の人々は、モラルが悪くなっていると信じていて、研究者がモラルについてたずねる限り、そう思い続けてきた・昔を良いように脚色し、今をネガティブなものにするバイアス
現在と過去のモラルを比較してもらったところ、やはり同じような錯覚にとらわれていることがわかった。
その感じ方は、政治的傾向や年齢によって、わずかに影響がみられた。
保守派や高齢者は、モラルが低くなったとより強く思う傾向にあったが、リベラル派や若者は、同じような考え方の路線に陥りやすかった。