「小学生の私にバケツの水をぶっかけた施設育ちの男の子。大人たちに叱られ、体罰まで受けたけど...」(愛知県・50代女性) (2/4ページ)
体罰を受けながら、何も言わなかった男の子
今では絶対に有り得ない事ですが、当時は体罰やむを得ないとされていた時代。
ビンタされたり、足蹴にされたり......それでも彼は何も言いません。
私は涙が止まらず、ただ取り乱すだけで何も声を上げられませんでした。
その後、彼は校長室に連れて行かれ、所属していた児童養護施設の方々が呼び出されて、そこでも激しく大人たちに叱責され、体罰を受けたそうです。
そこでも彼が何も言わなかったと担任の先生から聞いた私は、胸が引き裂かれる思いでいました。
しかし、私は大人たちが怖くて怖くて何も言えずにいたのです。

私はそのまま学校に行けなくなってしまいました。それから一週間が経った頃、両親から彼が施設の方々と共に謝罪に来ることになりました。
胸が激しく鼓動し、言葉にはならない思いに打ち潰されそうになりましたが、それよりも彼に再び会える事が何よりも強く私の気持ちを奮い立たせました。
「ほんとうは違うの。ほんとうは違うの...」彼が家に来ました。父に呼ばれて、母と共に彼の前に行きました。
彼は長かった髪の毛を丸坊主に刈られて、玄関先に地べたに正座をしていました。
何も言わない彼。大人たちが何かたくさん喋っていましたが、私には何も聞こえません。
彼の私を見つめる優しい眼差しから目を離す事ができませんでした。
ついに何かが溢れ出して奇声のような大声で叫びました。
「違う違う彼は悪くない。ほんとうは違うの。ほんとうは違うの。ほんとうは違うの...」
私は驚く彼の瞳を見つめたまま、自分がお漏らしをしてしまいそれを隠すため、庇うため、彼が咄嗟にバケツの水を掛けてくれたことを、息が止まるくらいの勢いで叫んでいました。