野生の象は名前があり、互いの名前(特定の鳴き声)で呼び合っているとする研究結果 (3/5ページ)
だがそれだけではなく、ある特定のゾウにだけ発せられる鳴き声があることがわかったのだ。しかも、それはその相手の鳴き声を真似しているわけでもなかった。
それは本当に名前なのか? これを確かめるために、その名前らしき鳴き声を野生のゾウ17頭に聞かせてみた。
すると、それを聞いたゾウはそちらの方へ移動し、鳴き声で返事までしてくれたという。
こうした名前らしき鳴き声は、群れ全体で共有されているようだ。
つまり、複数のゾウが同じゾウに向けて同じ鳴き声を発するのだ。しかも、それは「お母さん」といった感じの、何かの役割を呼ぶためのものでもないのだという。
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・人間以上に複雑なゾウの名前
なお、ケニアで記録されたゾウの鳴き声のうち、名前だろうと確認されたのは5分の1程度だけだった。名前の数が少なく思える理由は、人間の会話を想像すればわかるかもしれない。
私たちが誰かと会話するとき、必ずしもお互いを名前で呼び合うわけではない。「ねえ、ちょっと」など、名前で呼ばなくてもかまわない状況はたくさんあるだろう。
はっきり名前と特定できた鳴き声が少なかったもう1つの理由は、ゾウの名前が想像以上に複雑なものかもしれないことだ。
研究チームの仮説によれば、ゾウの鳴き声には、年齢や性別からそのときの気持ち(ゾウはとても感情豊かで、仲間の死を悼むこともある)まで、さまざまなメッセージが含まれているのだという。
だから状況によっては、ゾウが名前以外の意味に意識を向けていることも大いに考えられる。