「許せないこと」をどう許す?負の感情から解き放たれる童話(2) (2/3ページ)

新刊JP

読者の想像力に寄り添うような絵にしたいと思って描きました。

――キャラクターの見た目のイメージは最初から頭の中にあったんですか?

北:ストーリーをまず書いて、その後で自分の頭の中に思い浮かんだ絵をノートに描いていったのですが、そもそもこの作品は文章ではなくて映像作品にするつもりだったんです。だからキャラクターの造形はかなり作りこみました。

――アニメっぽくするつもりだったんですか?

北:「コマ撮りアニメ」を作ろうとしたんですけど、計算したら製作に5、6年かかりそうで、コストも読めないので、この製作をライフスタイルにしない限り映像化は難しいと思って童話の形に切り替えたんです。

――怒りにとらわれることで自分の人生がダメージを受けてしまうことは確かなのですが、周囲が当人に対して「許すこと」を押し付けることの傲慢さも近年議論されるようになっています。北まくらさんのお考えとして、「許せないことがあっても許すように努めるべきだ」というのがあるのでしょうか。

北:大前提として人には自由意志があるので、それを尊重せずに選択を迫ったり意見を押し付けたりするのは暴力と変わりません。誰であっても誰かの自由を奪ってはいけません。

その人の感情はその人にしかわからないことです。家族を殺された人の気持ちは他人には到底想像できるものではありません。だから他人に「許そう」なんて簡単には言えないはずです。

それに、たとえ自分のことであっても無理に許そうとするとかえって心に負担がかかってしまいます。だから無理に許そうとする必要はないですし、許せない自分を責める必要もない。怒りは自然な感情ですから、まずはその怒りや許せない気持ちの根源と向き合って、自分なりのペースで許していけばいいのではないでしょうか。

――花との交流を通してブギーは周りの人と自分自身を許せるようになっていきますが、自分を許せるようになった時にはもう死が間近に迫っています。罪を犯した人は死ぬまでその罪について考えるべきなのでしょうか。

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