「許せないこと」をどう許す?負の感情から解き放たれる童話(2) (1/3ページ)

新刊JP

『なんでもたべるかいじゅう』(幻冬舎刊)
『なんでもたべるかいじゅう』(幻冬舎刊)

怒りが収まらなかったこと、許せなかったこと、誰かを憎んだこと。  私たちはしばしばこうした激しい怒りに我を忘れることがある。そして、それらの怒りによって本来やるべきことに集中できなかったり、周りの人にやさしくできなかったりする。

許すことができればいいが、なかなかそうもいかない。そして許せないと、心が狭い自分が嫌になる。私たちは「怒り」とどう向き合えばいいのか。

『なんでもたべるかいじゅう』(幻冬舎刊)は、怒りに駆られて罪を犯したかいじゅうを描いた童話である。著者の北まくらさんは「怒り」と「許し」をどう表現したかったのか。作品の創作秘話とともにうかがうインタビューの後編だ。

北まくらさんインタビュー前編を読む

■人は誰しもが苦しむために生きるべきではない

――「許すこと」あるいは「許せないこと」について北まくらさんが社会に対して持っている問題意識がありましたら教えていただきたいです。

北:昨今の社会では、「不信」や「憎しみ」「悲しみ」などから生まれた怒りが、また誰かの怒りを呼ぶという負の連鎖を起こしているように見えます。負の感情が複雑に絡み合って、許せない気持ちが渦巻いている。

「許す」という行為はそういった暗雲を取り払ってくれると思っています。人が人を責め合う社会は破滅へと向かうだけですが、お互いに認め合えば調和のとれた発展的な道を歩むことができる。簡単なことではありませんが、私たちは後者の道を選べる可能性があると思っていますし、許すことはこれから厳しい時代を生き抜くために私たちそれぞれが前進するためのきっかけになってくれると思います。

――作中のかわいらしい挿絵が印象的でした。ブギーやムンゴ、エイミーなどのデザインも北まくらさんが作られたのでしょうか。

北:はい。私が鉛筆と消しゴムで下絵を描いて、妻にそれをデータ化してもらって製作しました。

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