宇宙通信向けダイヤモンド半導体高周波パワーデバイスの開発を開始 (1/5ページ)
呉工業高等専門学校(以下、「呉高専」。広島県呉市阿賀南二丁目2番11号 校長:餘利野直人)は、国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)(以下、「JAXA」。東京都調布市深大寺東町7-44-1)と国立大学法人佐賀大学(以下、「佐賀大学」。佐賀県佐賀市本庄町1番地)と、文部科学省「宇宙開発利用加速化戦略プログラム」の委託により、「ダイヤモンド半導体デバイスの宇宙通信向けマイクロ波電力増幅デバイスの開発」を2023年度から5年間の予定で開始します。
◆研究成果の概要
放送用送信機、各種レーダー送信機、衛星通信用送信機は、電力増幅素子に長らくクライストロンやTWT(進行波管)といった真空管が利用されてきましたが、近年、信頼性向上を目的とする、窒化ガリウム(GaN)素子を用いた増幅器の固体化が盛んに進められています。宇宙通信用の地上局送信機や衛星搭載中継器では、さらなる小型高効率化実現のために、マイクロ波帯での固体増幅素子の高出力化が強く望まれており、高い宇宙放射線耐性持つ半導体材料が必要とされています。
ダイヤモンド半導体の開発において、デバイス試作に欠かせない大口径ダイヤモンドウェハへの安定したドーピング技術が佐賀大学の成果により確立し、また世界に先駆けてダイヤモンドパワー半導体によるスイッチング素子の長時間の安定動作が確認されています。
本事業では、文部科学省「宇宙開発利用加速化戦略プログラム」の委託により、JAXA(研究責任者:同宇宙科学研究所 宇宙機応用工学研究系 准教授 冨木 淳史)を主管実施機関、呉高専(研究責任者:同電気情報工学分野 准教授 江口 正徳)と佐賀大学(研究責任者:同大学院理工学部電気電子工学部門 教授 嘉数 誠)を共同参画機関として、5年間かけて宇宙向けの人工衛星搭載の送信用マイクロ波電力増幅デバイスを開発し、実用化を目指します。
この期間にダイヤモンド半導体デバイスを試作し、回路設計、電気特性評価を行います。前半の3年間ではダイヤモンドMOSFETチップの、ゲート電極をサブミクロン化し、マイクロ波帯周波数で動作可能なデバイスを開発します。また、チップをパッケージ化し、基板に実装してマイクロ波特性を測定するとともに、電力増幅回路を試作します。