塩と水を使用し人間の脳細胞のように動くバイオコンピュータが開発される (2/4ページ)
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photo by iStock・塩と水を利用し、人間の脳のように湿った人工シナプスを作成
ユトレヒト大学と西江大学の研究チームは今回、生体の脳と同じ媒体を利用したシステムが可能であることを実証した。
すなわち水と塩を基礎としたコンピュータによって、脳の機能を模倣することに成功したのだ。
その中核となるのが、150×200マイクロメートルの極小デバイスで、生物の脳において神経細胞から神経細胞への信号伝達を担う「シナプス」の働きを模倣する。
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シナプスは神経伝達物質を放出することで、隣の神経細胞にメッセージを伝える/Credit: Utrecht University
ユトレヒト大学の博士候補生、ティム・カムスマ氏は、「複雑な情報を処理できる人工シナプスは固体材料でならすでに作られていますが、水と塩でそれができることを実証したのは、今回が初めて」と、プレスリリースで説明する。
開発された「イオントロニック・メムリスタ」は、まさに脳の神経細胞の振る舞いを再現したものだ。
このデバイスは、水と塩の溶液で満たされた円錐形のマイクロ経路で構成されており、電気的な刺激を受けると、溶液のイオンが経路内を移動し、イオン濃度が変化する。
この伝導率は電気刺激の強さに応じて変化し、その変化の大きさが入力信号を示す値となる。