塩と水を使用し人間の脳細胞のように動くバイオコンピュータが開発される (3/4ページ)
これが神経細胞同士の結合の強まりや弱まりとちょうど同じなのだ。
さらに経路の長さは、イオン濃度の変化が戻るまでの時間に影響する。つまり経路の長さを調整することで、情報の保持や処理のための時間が変わってくる。
これもまた生体のシナプスに見られる特徴である。
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人工シナプスの顕微鏡写真/Credit: Utrecht University・生物学と電子工学を組み合わせることで人間の脳を再現
今回の研究は基本的なもので、イオントロニック・ニューロモーフィック・コンピューティングの本格的な実用化まではまだまだ時間がかかる。
研究チームが目指すのは、現在のコンピュータよりもずっと高性能で、なおかつ省エネ型のコンピュータだ。これはあくまで目標であって、実現するのかどうか、本当のところはまだわからない。
とはいえ、カムスマ氏は今回の成果を大きな前進だと考えている。
人間の脳の通信パターンだけでなく、同じ媒体まで利用したコンピュータ開発へ向けた大きな進歩です。この研究は『PNAS』(2024年4月24日付)で発表された。
きっといつかは、人間の脳の驚異的な能力をより忠実に再現するコンピューティング・システムへの道が開かれるでしょう(ティム・カムスマ氏)