死の間際、認知症患者の記憶が突然はっきりと戻ることがある「終末期明晰」の謎 (2/4ページ)

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 また別の研究によると、認知症が進行した人に半年以内の死が近づくと、その多くにかつてのその人らしさが垣間見られるようになるという。

 さらに認知症だけでなく、髄膜炎・統合失調症・脳腫瘍・脳損傷など、脳や思考能力に影響を与えるほかの疾患でも、終末期明晰が報告されている。

 ただし例外もあり、終末期明晰らしき症状があった人が、必ず近い将来亡くなるわけではない。

 こうしたものは、一般に予測される認知症の進行から外れることから「逆説的明晰(paradoxical lucidity)」と呼ばれることもある。

 だが残念ながら、せっかく意識がはっきりと戻っても、それらはいずれも一時的なもので、神経変性疾患の進行が逆転して、以前の状態に回復するわけではない。

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・なぜ終末期明晰が起きるのか?
 なぜこのような現象が起きるのか? その理由は今のところよくわからない。なにしろ終末期明晰を研究すること自体が非常に難しいのだ。

 まずこれがいつ起きるのかわからない。愛する人が一緒にいるときに起こる、音楽によって一時的に記憶が明晰になるといった話もあるが、大抵の終末期明晰は特にきっかけがないのにやってくる。

 ニューヨーク大学の研究チームは、死の前の脳活動の変化が終末期明晰を起こす可能性があると推測した。しかし、これだけでは、失われたと思われていた能力が突然回復する理由を完全には説明できない。
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