死の間際、認知症患者の記憶が突然はっきりと戻ることがある「終末期明晰」の謎 (3/4ページ)

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 また認知症の患者に死期が迫れば、必ず起きるというものでもない。

 仮にどのタイミングで終末期明晰が発生するのか予測できたとしても、そもそもその本人や家族にとっては、最後の時間を一緒に過ごすとても大切な機会だ。

 その時間をあえて研究に捧げてやろうなどと思う人はほとんどいないし、それを強いることは倫理的に問題がある。

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photo by iStock・終末期明晰はその人本来の姿が見られる最後のチャンス
 終末期明晰は、科学の枠を超えた現象だ。

 これが起きた時、死にゆく人が家族や人生に最後の別れを告げようとしているのだと、受け止める人もいる。それが死後の世界を証明するものなのだと考える人もいる。

 いずれにせよ、認知症が進行した人の意識が戻った時、周囲の人たちの反応はさまざまだ。安心する人もいれば、混乱し動揺する人もいる。

 介護のやり方を変えようとしたり、命を助けるために何かしなくてはと感じる人もいる。

 だが、それが死へのプロセスの一部であることを理解し、認知症が回復するわけではないことを知れば、その瞬間を最大限に活用することができる。

 それは長い間失われていたその人らしさに、もう一度触れることができる最後の貴重な機会なのだ。
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