腕を光らせながらカメラを襲う深海イカの衝撃映像

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腕を光らせながらカメラを襲う深海イカの衝撃映像
腕を光らせながらカメラを襲う深海イカの衝撃映像

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 宇宙のごとく暗く未知なる深海で襲いかかってきたのは大きなイカ。しかも2本の腕にまぶしい光を放つ発光器付きというSFめいた風貌。それは研究者らにとっても衝撃的かつ驚きの光景だった。

 先日、サモア海峡の水深およそ1,000mのところで、発光器官をもつ大きなイカが調査用のカメラを襲う姿がとらえられた。

 西オーストラリア大学の科学者によると、このイカは、ヤツデイカ科のヒロビレイカでカメラを獲物と勘違いしたらしい。

 動物界最大の発光器官をもつとされるこのイカの記録は非常に少なく、生きた状態での観察という点でも貴重な資料になるという。



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Rare deep-sea squid caught on camera・光る腕で急襲!水深1,000mのカメラを襲ったイカ
 こちらは西オーストラリア大学を拠点とするミンデルー-UMA深海研究センターの海洋研究者チームが先月公開した珍しいイカの映像だ。

 場所は、南太平洋の中心に位置するサモア海峡の北あたり。チームによると、餌をつけて水深5,000mまで沈めていたカメラを回収するため引き上げていたとき、このイカが攻撃してきたという。

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 水深1,026mでいきなり襲ってきたイカ。

 登場からまもなく、腕を広げてカメラのアームの端につかみかかったものの、すぐに手放し、深海へと泳ぎ去ってしまった。

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 チームによると、このイカの学名はタニンギア・ダナエ(Taningia danae)。正式な和名は不明だが、日本では頭足綱ツツイカ目ヤツデイカ科に属するヒロビレイカと呼ばれているもよう。

 既知のイカの種でも最大級ともいわれており、過去には全長2.3m、体重160kgほどの雌が見つかっている。

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 ただ今回の個体の体長は75cmほど。まだ子どものほうかもしれない。

 つかの間の出来事だったが、このイカが暗い深海でまぶしい光を放つ様子は誰もが一瞬見とれるほど印象的なシーンだった。・動物界最大の発光器をもつイカ
 このイカの腕の黄緑色の光は、2本の腕に1つずつある発光器から放たれている。

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 このイカの最大の特徴とされる発光器は、動物界最大といわれる特級器官でもあり、その大きさは全長2mの個体に対してレモンほどもある。

 彼らは腕から強烈な光を放ち、点滅させることで獲物の目をくらませて、混乱している隙に捕食するのだという。

 他にも普通のライトのように、獲物探しのために照らしたり、求愛や縄張の主張に使われている可能性もあるそうだ。

 イカ学者のサラ・マカンアルティさんのツイートより  生物発光の一種である発光器自体は、チョウチンアンコウ(厳密にはエスカと呼ばれる擬餌状体の先に寄生した発光バクテリアの光)でもおなじみだし、深海生物の捕食者などによく見られるものだが、場所が腕でしかもこれだけ大きいと妙にSF感が際立つな。・めったに見られない貴重な生体映像記録
 今回の映像で、チームはこのイカがカメラを狙って急降下し、腕の光で驚かせようとしていたことや、すぐに捕食を中止して泳ぎ去るところまで観察できた。[画像を見る]  同センターの監督者である海洋学者のアラン・ジェイミーソンさんはこう語る
驚異的なイカの種の記録の多くは、浜辺に打ち上げられたものや、他の漁の仕掛けにたまたま混じっていたもの、あるいはクジラの胃の内容物からのものです。

生きた個体の観察自体がまれなため、すべての遭遇が貴重で、発見位置や水深、行動などの情報を収集する必要があります。

とりわけこの種、タニンギア・ダナエはきわめてユニークで、私たちにとっても貴重な映像記録になるため、みなさんと共有すべきだと感じました。
・深海の生命体や地形学的特徴を研究するチーム
 この記録は、チームの調査船RVドラゴンによる、太平洋のノバ・カントン・トラフへの3カ月にわたる遠征調査の終盤にとらえられたものだ。

 チームは現在、水深約3,000m から1万3,000mまでの海域を調べており、深海の生命体や地形学的特徴を研究している。

 1万m超えの深さなら新たな発見も期待できそう。このイカの巨大バージョンとか、より奇妙な生物や目を見張るような地形が待ち構えていそうだな。

References:uwa / youtube / gizmodoなど /written by D/ edited by parumo



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