「部下の手柄を横取りする上司」に優秀な人がいない理由 (1/2ページ)

「この人とずっと仕事をしたい」と思える上司と巡り会えれば、仕事は楽しくやりがいのあるものになり、それは自分の成長にもつながっていく。ただ、日本ではリーダー教育があまりされてこなかったこともあり、若手社員から「この上司と働きたい」と思われるようなリーダーや管理職はまだまだ少ない。
それどころか「なんでこんな人がマネジャーをやってるんだ?」と部下から忌み嫌われる上司がどんな職場にも一人か二人は必ずいるもの。「憎まれ役に徹している」というケースもあるにはあるが、単に部下のやる気を奪い、生産性を落とすことしかできない「ダメ上司」もまたたくさんいるのである。
『なぜこんな人が上司なのか』(桃野泰徳著、新潮社刊)は、そんなダメ上司にならないために、マネジメント層に警鐘を鳴らす。
◾️「部下の手柄を横取りする上司」に優秀な人がいない理由嫌われる上司の条件は数あれど「部下の手柄を横取りする」に勝るものはなかなかないはず。部下が出した成果をさも自分がやったかのように吹聴して回ったり、自分のおかげでプロジェクトがうまくいったと言ってはばからない上司は、まちがいなく部下から嫌われる。そして、こうした上司に優秀な人はまずいない。
では、こうした人物はなぜリーダーに不適格なのか。こんな「あれは俺がやった自慢」ばかりの上司は部下のモチベーションを下げる、というのももちろんある。それに加えて、本書では「仕事は天下一武道会ではない」として、こんな考察をしている。
腕力自慢の経営トップ1人と社員10人の組織よりも、10の優秀な社員を気持ちよく働かせることができる経営トップ1人の方が強いのが、組織力というものだ。(P 17より)
「俺が俺が」で、誰かがやった仕事を自分の手柄のように語っている上司の仕事は「天下一武道会」そのものである。自分の下の部下たちが気持ちよく働けるように気を回して、自分語りは控えた方が組織はうまく回る。もちろん成果も出る。さらには上司自身の社内評価も上がるというものだ。