臓器移植後に性格が変わることがある。いったいなぜなのか? (3/4ページ)

カラパイア



 記憶は脳に保存される。だが、そもそも記憶とは、神経細胞と神経細胞がお互いにインパルスを伝え合い、特殊な化学物質(神経伝達物質)が交換されるという神経化学的なプロセスだ。

 こうした神経の働きが、脳以外の場所に保存されることはないのだろうか?

 例えば、移植手術のためにドナー(臓器を与える側)から摘出された臓器には、その機能を司る神経がまだ残っており、手術から1年後には部分的に回復しているという証拠がある。

 ならば臓器移植によって、そうした神経化学的な働きがレシピエント(臓器をもらう側)の神経系に取り込まれ、それがその人の性格に影響することもあるかもしれない。

 実際、ドナーの細胞は移植先の体を巡っており、手術から2年がすぎたレシピエントの体からドナーのDNAが発見されたこともあるという。

 こうした細胞やDNAは、レシピエントの免疫系を刺激する。免疫による長期的な軽い炎症は、外向性や良心性といった性格を変えることが知られている。

 これが臓器移植による性格の変化の原因の1つとも考えられるかもしれない。

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・性格が変わる原因や仕組みを解明するには更なる研究が必要
 臓器移植によって性格が変わる原因や仕組みは、まだはっきりしたことはわからない。

 だが、手術の内容やその影響をきちんと理解することは、患者にとってとても大切なことだ。だから、この不思議な現象をもっと研究する必要があるのだそうだ。

 この研究は『Transplantology』誌(2024年1月11日付)に掲載された。
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