小説執筆を許されるも無断欠勤!?シングルマザー「紫式部」、子育てと仕事の両立に悩む。 (3/5ページ)
『紫式部集』には、出仕直後に詠んだと思われる歌が収められています。
初めて内裏わたりを見るにも、もののあはれなれば、
(初めて宮仕えをして宮中を見ると、しみじみと感慨深くなって)
身の憂さは心のうちにしたひきていま九重(ここのえ)ぞ 思ひ乱るる
(宮中を心の中で慕ってきましたが、今、幾重にも心が乱れています)
式部は、宮中で何か嫌な思いをしたのでしょうか。実は初出仕の数日後、年明け3日に催された歌会の後で、なんと彼女は実家へ帰ってしまいました。
その正確な理由は不明ですが、初出任後の数日間でわずかに言葉を交わした同僚の女房に対して、式部は次の歌を送っています。
閉ぢたりし 岩間の氷 うち解けばをだえの水も影見えじやは
(岩間を閉ざした氷のように、私に心を開いてくれない方々が打ち解けてくださるなら、私も出仕しないことはありません)
すると同僚は、
深山辺の花吹きまがふ 谷風に結びし水も解けざらめやは
(山辺の花に吹く谷風のように、中宮様のご慈愛に分け隔てはないので、宮中はきっと和やかになりますよ)
と優しい言葉を返してくれました。