パリも日本も、どこにいても私は私。女優・杏の“環境の変化”への向き合い方 (1/4ページ)
取材・文:瑞姫 撮影:洞澤佐智子 編集:松岡紘子/マイナビウーマン編集部 スタイリスト:中井綾子/crêpe ヘアメイク:犬木愛/Ai Inuki
人生を変えるひとつの大きな要素に、“環境”がある。環境を変えることは、これまで自分が身を置いていた安定した生活から離れ、未知なる別の世界に飛び込むことだ。それは時に勇気のいることだったり、不安なことだったりする。
けれど、その大きな決断によって、これまでにない新たな視点を得ることができるし、自分の人生観を見つめなおすきっかけにもなる。そして、新たな人や場所との出会いにもつながるだろう。
女優であり、3児の母でもある杏さんも、2022年の夏に日本とフランス・パリの二拠点生活を始めるという人生で“大きな決断”をした1人。現在は日本とパリを行き来しながら生活を送っている。
そんな彼女の移住前最後の作品となったのが、映画『かくしごと』。この作品もまた、環境を変えることで思いも寄らない変化が訪れたことを描く、ヒューマン・ミステリーだ。
映画の中で演じた千紗子について、そして杏さんのフランス・パリでの生活で感じた変化や新たな発見について、杏さんにとって“環境を変えること”とは何か、聞いた。
■映画『かくしごと』が描く“おとぎ話のような世界”
映画は、杏さん演じる絵本作家の千紗子が、長年絶縁状態にあった父・孝蔵(奥田瑛二)の認知症の介護のため、渋々田舎に戻るところから始まる。他人のような父親との同居に辟易する日々を送っていたある日、事故で記憶を失ってしまった少年(中須翔真)を助けた千紗子が彼の身体に虐待の痕を見つけたことから、物語は思いも寄らない方向へと進んでいく。
少年を守るため、自分が母親だと嘘をつき、少年と一緒に暮らし始めた千紗子。次第に心を通わせ、新しい家族のかたちを育んでいく3人。しかし、その幸せな生活は長くは続かない。物語が進むにつれ、ひとつの“嘘”をきっかけに、それぞれの“かくしごと”が明らかになっていくが、最後は予想し得ないラストで締めくくられる。