男性の精子数は本当に減少しているのか?それよりも大幅な質の低下が起きているとする新研究
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ここ数十年、世界的に男性の精子が減りつつあるという研究結果が報告され、ハルマゲドンならぬスペルマゲドンが起きている、と人類の行く末を懸念する声が上がっている。
だが、イギリス、カナダ、デンマークの研究者による最新研究によると数よりも質に目を向けるべきだという。
彼らの研究によると、ここ数年で精子の数に大幅な減少はなかったそうだ。だが、精子の運動量が大幅に低下していることが明らかになったのだ。
一体なぜ精子の大幅な動きの低下が起きたのだろう?
・男性の精子の数が年々減少している
このところ男性の精子が年々減少していることを示す研究が増えている。
1970年代比で精子数が半減したとする研究や、過去40年で精子が6割近く減少したとする研究が次々と報告されている。
精子人類の絶滅につながりかねないと警鐘を鳴らす専門家がいるなど、あまりの深刻さにハルマゲドンならぬ「スペルマゲドン(spermageddon)」と呼ばれることもある。
なぜこれほど精子の数が減少しているのか?その原因ははっきりしないものの、日常生活で知らず知らずのうちにさらされている化学物質やマイクロプラスチックといったものが挙げられている。
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photo by iStock・数の減少よりも質の低下の方が問題だった
だが今回の新たな研究では、これまでとは少々違う事実が明らかになっている。精子がピンチなのは変わらないが、量より質の方が問題なのだという。
世界最大の精子バンク「クリオス・インターナショナル精子バンク」をはじめとするイギリス、カナダ、デンマークの国際研究チームは、同バンクに精子を提供した男性6758人(18~45歳、デンマークの4都市に在住)のデータを分析した。
それによると、少なくとも今回の調査対象となった2017~2022年においては、精子の密度や数にとりわけ変化はなかったという。
もう少し細かく見ると、2019~2022年では、密度と総数が前年より約0.1~5%ほど減っているという結果が得られている。ただ、こうした変化は統計的には意味がないもので、誤差の範囲のものだ。
それよりも研究チームを驚かせたことがある。彼らが気づいたのは、その期間中に精子の動きが大幅に低下していたことだ。
運動している精子に限って密度と総数(どちらも精子の質を測る指標)を調べてみたところ、2019年から2022年にかけてそれぞれ16%と22%減少していたのだ。
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photo by iStock・パンデミックによるライフスタイルの変化が関与?
なぜ精子の動きは、ほんの数年のうちにこれほどまで低下してしまったのか? 研究者らは、新型コロナウイルスの流行と関連しているとにらんでいる。
クイーンズ大学から研究に参加したロバート・モンゴメリー教授は、「この減少は、新型コロナの世界的流行にほぼ一致します」とプレスリリースで指摘する。
研究者らはウイルスが直接精子を攻撃したと言っているわけではない。そうではなく、ライフスタイルの変化が問題だったと考えられるという。
この時期、さまざまな都市でロックダウンが広がり、人々の働き方・食事・運動といったライフスタイルが大幅に変化した。じつはこうしたことが精子に影響することは以前から知られているのだそうだ。
念のため言っておくと、精子の運動量と新型コロナを結びつける証拠は今のところなく、あくまで推測でしかない。
また、精子を提供した男性はデンマークの限られた地域に暮らしており、それがデンマーク全体や、世界全体にどの程度当てはまるのかも定かではない。
だが、これまでの研究が精子の数や密度だけに注目してきたのに対し、量よりもむしろ質に焦点を当てるべきであると示した点で、この結果は重要であるとのことだ。
この研究は『Human Reproduction』(2024年6月4日付)に掲載された。
References:No evidence sperm counts are dropping, researchers find / written by hiroching / edited by / parumo
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