人間が使用する医薬品が自然界に流出し、様々な野生動物に劇的な変化が起きている (3/5ページ)
スウェーデン農業科学大学のマイケル・バートラム助教は、「医薬品の有効成分は世界中の水路で検出されており、その中には私たちが食べる可能性のある生物も含まれています」と警鐘を鳴らす。
この問題はここ数十年でますます明らかになっており、世界的な生物多様性の問題としてもっと注目されるべきであると話す。
[画像を見る]
photo by iStock・薬物はどこから流出するのか?
そうした薬品が環境に流出するルートはいくつかある。1つは、医薬品を作る過程で、処理が不十分なままに廃棄されるケースだ。
もう1つは人間の体だ。誰かが薬を服用したとしても、そのすべてが体内で分解されるわけではなく、排泄物と一緒に排出される。
そうして生態系に流出する薬物は、カフェイン・抗不安薬・抗うつ薬・抗精神薬などさまざまで、コカインやメタンフェタミンなどの違法薬物すらも環境を汚染しているという。
バートラム助教は、インドで家畜に日常的に投与されていた抗炎症剤(ジクロフェナク)の影響で、1992~2007年にかけてハゲワシ個体数が97%以上も減少した事例を指摘する。
そのケースでは、ハゲワシが牛の死骸を食べ亡くなったことで、かわりに犬がそれを漁るようになり狂犬病が急増するという思わぬ副作用もあったという。