Shall we ダンス?衝突する銀河と踊る初期ブラックホールを観測 (3/4ページ)
つまり光の粒子(光子)が電子に原子から脱出するエネルギーを与え、それによって電荷を帯びたイオンが作り出されているのだ。
さらにPJ308-21のホスト銀河と衝突しつつある伴銀河の片方も金属が豊富で、その物質もクエーサーから浴びせられる電磁波によって部分的に光イオン化している。
光イオン化はもう片方の伴銀河でも起きているが、こちらは急激に星が形成されることが原因であるようだ。もう1つの伴銀河や活動銀河核とは違って、それほど金属が多くないのだ。
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中央のクエーサー(QSO)の光をマスク処理し、PJ308-21の水素(赤と青)と酸素(緑)の線放出を示したもの。クエーサーのホスト銀河と伴銀河の色の違いは、内部のガスの状態や物理的性質を伝えている/Image credit: Decarli et. at / INAF / A&A 2024・銀河とブラックホールの進化に新たな光を投げかける
こうした宇宙初期の光景を観察できたのは、ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡の特殊な目のおかげだ。
PJ308-21は、普通の光やX線まで、電磁スペクトルの広い範囲にわたって光を放っている。だが、実際に観測できるのは赤外線だけだ。
なぜなら、このクエーサーからの光が120億年以上かけて地球にやってくるまでに、宇宙の膨張によって波長が大きく引き伸ばされるからだ。この現象を「赤方偏移」という。
赤方偏移は、天体が遠ざかることで放出される光の波長が伸びる現象で、これが光をより赤っぽく見せる。
ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡はこうした赤外線をキャッチするのが非常に得意なのだ。