『SIX BEATS TO HEAVEN』神楽の魂と美しさを未来に伝える。二人のアメリカ人監督が描く、心揺さぶるドキュメンタリー映画の誕生! (2/10ページ)
「もっと知りたい、この目で見たい」という衝動を抑えきれなくなったビリーは、2012年、アジアンカルチュラルカウンシル日本財団の助成金を受けて、念願の島根県を初訪問します。彼が最初に足を踏み入れたのは、江津市桜江町。そこで出会ったのが、石見神楽の原型とされる「大元神楽(おおもとかぐら)」でした。
ビリーはその神聖な舞の美しさに心を奪われ、まるで体の中に日本の魂が流れ込んできたかのような感覚に包まれたと言います。以後、彼は毎年のように祭りの季節になると島根県に足を運び、石見地域の神社を巡って様々な神楽団の舞を鑑賞しました。
◆ 日本への移住、そして映画制作へ
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大元神楽に心奪われたビリーは、なんとその4年後、神楽愛から日本へ移住する決断をします。それほどまでに彼を引きつけた神楽とは一体何だったのでしょうか。ビリーは、日本での暮らしの中でさらに神楽への理解を深めるうちに、伝統文化としての神楽が、後継者不足や地域の過疎化によって存続の危機に瀕していることを知ります。特に、彼が最も魅了された「六調子神楽」と呼ばれる大元神楽は、テンポがゆったりとしており、神聖さを重んじて神社の外で舞われることがほとんどないため、一般の人々が目にする機会が少ないのです。
「この美しい伝統が失われてしまうなんて、とても耐えられない」。その思いが、ビリーを突き動かし、彼は長年の親友であるクリスチャン・ネィグルに協力を仰ぎます。彼らは、日本各地の神楽を追いかけて撮りためた映像や写真を元に、神楽の魅力をより多くの人に伝える方法を模索しました。そこでクリスチャンが提案したのが、「写真集ではなく映画を作ろう」というものでした。