約1000年受け継がれる日本刀の世界!特別展「-全日本刀匠会50周年記念-日本刀1000年の軌跡」開催 (4/5ページ)
刀 銘 大和国住月山貞利謹切物同作(花押)
美和山狭井河之上/令和二二壬寅歳三月吉祥日
令和4年(2022) 個人蔵
月山貞利(さだとし)(1946~)は月山貞一(二代)を父に持つ、奈良県の刀匠。月山一門の特徴のひとつに、刀剣彫刻を専門の彫刻師に依頼するのではなく、刀匠自らが手掛ける「自身彫」があります。
この作品は表に倶利迦羅龍(くりからりゅう)を、裏に鯉の滝登りをいずれも樋中に浮彫で表します。樋という溝に文様だけを高く彫り残す技術は平地に彫るよりも手間を要します。若い刀匠でも集中力を要する広範で濃密な彫刻に、七十代後半という高齢で挑んだ作です。
月山一門はそのルーツを800年前の出羽三山の月山鍛冶に求め、代々、その継承者として伝統技術の継承につとめてきました。貞利は、終戦時に刀剣製作を中断せざるを得なかった先代貞一の苦悩を間近に見ています。本作は、技術継承の使命感を持ち作刀に臨む貞利の気概がうかがえる作です。