【大河べらぼう】げにありがたき白眉毛の死因は?次の西ノ丸は誰に?ほか…4月13日放送の考察&レビュー
冒頭1分、もういない瀬以(小芝風花)との新婚生活を夢を見て、ふと目が覚めた蔦屋重三郎(横浜流星)。天国から地獄とはまさにこのこと……しかし転んではタダでは起きません。
「ある人と考えていた話」を完成させようと道陀楼麻阿(尾美としのり)の知恵を借りながら、かつて二人で考えた「瀬川の語る瀬川もの」の完成を目指します。
一方でエレキテルがインチキだと悪評を立てられ、荒み切っていた平賀源内(安田顕)は、平秩東作(木村了)が持って来た蝦夷開拓の話を田沼意次(渡辺謙)に持ちかけましたが、田沼はそれどころではありません。
鷹狩りの最中に徳川家基(奥智哉)が急死し、日頃から対立していた田沼が疑われていたのです。
田沼意次より革を見せてもらう高岳。これが思わぬ悲劇を招いた。NHK大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」公式サイトより。
高岳(冨永愛)の依頼を通じて手配された鞢(えがけ、革手袋)の親指には家基のかじった跡があり、日ごろから指爪をかじる癖を知っていた者が毒を仕込んだものと推理されました。
これで万事休すと思いきや、白眉毛こと松平武元(石坂浩二)は「目先の政敵を追い落とすために、真の外道を見逃すようなことはしない」と度量を示し、田沼と和解の姿勢を見せます。
そんな矢先に松平武元は急死してしまい、不気味に傀儡舞を演じる一橋治済(生田斗真)がほくそ笑むシーンで幕引きとなりました。
NHK大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」第15回放送は「死を呼ぶ手袋」、今週も名場面を振り返っていきましょう!
りつが始める「芸者の見番」って何?
大黒屋の女将・りつ(安達祐実)が女郎屋を辞めて、芸者の見番(けんばん)を始めようと言い出しました。
遊女たちだけでなく、女芸者にも気を配ることで彼女たちの安全を図ろうとしているようです。
また丁子屋長十郎(島英臣)が寮を活用して病気の遊女たちをケアするなど、吉原遊郭の忘八たちも少しずつ変わり始めていました。
「何だか夢みてぇだな……」
かつて蔦重が一人で訴えて階段から投げ転がされ、瀬川(当時は花の井)と共に目指した遊女たちの処遇改善が、実を結びつつあるようです。
芸者の見番とは検番とも言うとおり、遊郭で芸者たちの取り次ぎや派遣、玉代の勘定などを取り締まりました。
性行為は遊女、芸能は芸者と分かれていたようで、遊女だけでなく芸者についても安全に働けるよう取り図ろうとしたのでしょう。
平秩東作と蝦夷地の関係は?
木村了演じる平秩東作。NHK大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」公式サイトより。
エレキテルの失敗で荒んでいた源内先生に蝦夷地開拓の話を持ちかけた平秩東作。既に枯渇したと思われていた砂金を持ってきました。
これだけ見せられても「本当に蝦夷地から採ってきたのかな?」と疑ってしまいますが、果たしてどうなのでしょうか。
ともあれ後に平秩東作は天明3年(1783年)から翌天明4年(1784年)にかけて蝦夷地の松前と江差に逗留し、アイヌの風俗や蝦夷地の風土などを『東遊記』にまとめました。
劇中でもしばしば演じられている通り、平賀源内とは親交を持っており、獄死した源内の遺体を引き取っています。
罪人とされていた源内の遺体を引き取れば、御公儀(幕府)に目をつけられかねません。しかし平秩東作はそれを百も承知で遺体を引き取りました。よほど男気のある人物だったのでしょう。
彼の蝦夷地探検などは劇中で描かれるのか、楽しみにしています。
げにありがたきは白眉毛……松平武元の思い
田沼意次に鞢(えがけ)を示す松平武元。NHK大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」公式サイトより。
松平武元「見くびるな。わしがそなたを気に食わぬとはいえ、これを機に使い、追い落としなどすれば、まことの外道を見逃すことになる。わしはそれほど愚かではない」
田沼意次「愚かなるは、私にございました。どうか……お許しくださいませ」
たとえ嫌いな相手であろうと、より大きな義を貫くために度量を示した松平武元。先だって田沼意次が検校取締の献言を行った忠義を認めたことも、一因だったことでしょう。
松平武元「そなたの考えは好かぬ。『世の大事は、まずは金』それが当世であることは、わしとて分かる。しかし金というものは、いざという時に、米のように食えもせねば、刀のように身を守ってもくれぬ。人のように、手を差し伸べてもくれぬ。然様(さよう)に頼りなきものであるにもかかわらず、そなたも世の者も、金の力を信じ過ぎておるように、わしには思える」
本作におけるテーマとして描かれてきた「カネと欲望」。儲けたい・楽したい・得したい……そんな世相に対して、ずっと一線を画してきた松平武元のセリフは、現代に生きる私たちもまた肝に銘じるべきではないでしょうか。
生きた人間の口からこのセリフが聞けただけでも、今週の放送を観た甲斐があったと思います。一人でも多くの日本人が、私欲だけでなく公益に供する志をもって生きようと思えれば、日本の未来は少しずつでも開けていくはずです。
ちなみに松平武元は安永8年(1779年)7月25日に61歳で世を去りましたが、その死因が暗殺とは分かっていません。
次の西ノ丸は誰に?
毒が回った?徳川家基。NHK大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」公式サイトより。
将来を嘱望されながら鷹狩りの場で急死してしまい、幻の第11代将軍とも呼ばれた徳川家基。徳川家の中で「家」の通字を冠しながら将軍位に就けなかった唯一の人物として知られています。
劇中で田沼意次らが「次の西ノ丸が犯人」と言及していたとおり、多くの犯罪はそれによって最も利益を得る者が犯人である可能性が高いものです。
それで徳川家基の亡き後に西ノ丸(将軍後継者)となったのは豊千代(後の徳川家斉)。一橋治済の子で、他に適切な男児がいなかったことから、家基の3回忌法要が済んだ安永10年(1781年)に徳川家治(真島秀和)の養子となりました。
やがて天明7年(1787年)に将軍となるや、それまでに権勢を振るっていた田沼意次を罷免し、奥州白河藩主で名君と讃えられていた松平定信(寺田心)を老中に抜擢。後に「寛政の改革」と呼ばれる文武奨励策を推進します。
これから一橋治済・徳川家斉父子と田沼派の政治抗争が見どころの一つとなっていくでしょう。
第16回放送「さらば源内、見立は蓬莱(ほうらい)」
狂気に侵されていく源内先生。NHK大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」公式サイトより。
蔦重(横浜流星)は源内(安田顕)を訪ね、戯作の執筆を依頼するが源内は奇妙な言動を繰り返す。その後、意次(渡辺謙)らのもとに“源内が人を斬った”という知らせが入る
※NHK大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」公式サイトより。
ここのところ、ずと不穏な源内先生。今まで明るく気さくなキャラで愛されてきただけに、視聴者のロスも大きそうですね。
果たして源内先生がどんな最期を遂げてしまうのか、そして急遽登場した杉田玄白(山中聡)の辞も見どころとなるでしょう。
源内先生、ずっと贔屓にしていたので、感謝の心で見届けたいと思います。
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