パワハラ上司に涙の訴え。「許す/許さない」じゃない選択も、許されていい【人事の人見#7】 (1/3ページ)
※本コラムは『人事の人見』第7話までのネタバレを含みます。
■「許す/許さない」じゃない選択も、許されていい
つい最近、知人に約束を破られたことがありました。信用していたからこそ、裏切られたと思って、悲しかった。でも、それ以上に、「ごめんね」と言われたのに、すぐに「いいよ」と返せなかったのが、いちばんしんどかったです。
最初に傷つけてきたのは相手でも、「ひどい」と思い続けることで、いつの間にか自分が悪者みたいになってしまうこともある。傷つけられた側だって、ずっと恨み続けたいわけではないのに。
相手を許すというのは、傷つけられた自分から解放されることにもつながります。そう考えると、すぐに許せたらお互いにとって最高ですよね。でも、そう簡単にはいかないのが、人間というもの。人見くん(松田元太)の先輩・真野(前田敦子)も、そんな葛藤を抱きながら生きていました。
9年前、海外営業部に配属された真野は、当時の上司・黒澤(長谷川純)から酷いパワハラを受けていたようです。内容を聞くと、怒鳴る、物を投げる、人格否定、無理なタスクを与えない……と典型的なパワハラ。真野は、そのストレスで通勤中に倒れてしまい、会社に行けなくなってしまいました。
結局、黒澤は東北支社に出向になり、真野も人事部に異動したことで、なんとか調子を取り戻せていた。それなのに、黒澤を本社に戻し、経営企画部の課長にするという計画が、里井常務(小日向文世)と平田(鈴木保奈美)の間で練られていたのです。「きちんと償って更生したのなら、やり直せる会社であることも大切です」と言う里井常務の気持ちも分からなくはない。ただ、被害者がいる以上、そちらの気持ちを優先させるべきだと思います。
でも、だからこそ、苦しいんですよね。だって、このシステムだと、被害者に、すべての責任がのしかかってくるんですよ。真野が許せば、黒澤も昇進できて、人事異動も里井常務の思うままに進められる。
その一方、真野が「許さない」と言えば、今までどおりの生活は送れるけれど、彼女が「わたしのせいで……」と罪悪感を背負わなければならない(もちろん、背負う必要はないのですが)。