これが日本初の著作権トラブル?福澤諭吉『西洋事情』をめぐる”偽版”騒動とその影響【後編】 (2/2ページ)

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『西洋事情』をめぐるこの一連の出来事は、単なる出版トラブルではありませんでした。著作権という新たな概念を社会に広め、その制度化を促したという点で、日本の知的財産保護の歴史において重要な出発点となったのです。

福澤諭吉が唱えた「知は保護されるべきもの」という理念と、黒田麹廬が信じた「知は広く届けられるべきもの」という信念。その交差の中に、日本初の著作権トラブルがありました。それは、新時代を迎えた明治日本において、出版と知のあり方を問う象徴的な出来事だったのです。

近代日本の「著作権」という制度は、保護と共有、個人と社会、商業と教育──それぞれがぶつかり合いながら、やがて形を持ちはじめたのです。『西洋事情』をめぐる騒動は、単なる二者の対立ではなく、私たちが今も直面する「知の自由」と「知の責任」の出発点だったといえるでしょう。

参考文献

福澤 諭吉 (著), マリオン・ソシエ (編)『西洋事情』(2009慶應義塾大学出版会) 堀井 健司「幕末維新期における版権についての一考察」『出版研究』40巻(2010 日本出版学会)

日本の文化と「今」をつなぐ - Japaaan

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