大河「べらぼう」殺された母子と壮絶な将軍の最期〜江戸を襲った洪水が引き起こす無念の死【前編】 (4/6ページ)
大洪水により家や職を失い生活困窮者が激増、流民で溢れかえる街、高騰する物価、人々はどんどん追い詰められ不穏な空気が漂っていきます。
天明の噴火(西暦1783年)。浅間山の天明大噴火を描いた「浅間山夜分大焼之図」wiki
困窮者の住む長屋で羽織姿の蔦重は目立ち過ぎた災害、物価高、米不足など困難が重なり生活が苦しくなると、人々の心にも妬み・嫉み・猜疑心が生まれ、邪心が蔓延し犯罪が増えるのは世の習い。
「貧すれば鈍する」「窮すれば濫す」という諺を思い出しました。
「人間は貧乏になると、知恵や精神の働きまで鈍り、平気でさもしいことまでするようになる」「切羽詰まって困難な状況になると、人は善悪の見境がつかなくなり悪事を働くこと」という意味なのですが、まさに貧困が引き起こした凶行がふくを襲います。
蔦重のいかにも日本橋の裕福な商人というバリッとした羽織姿は、ボロボロの汚れた着物を纏い髪を振り乱して必死に生きている人々が住む長屋では、あまりにも目立ちました。もっと目立たない、地味な着物で行ってほしいと思ったものでした。
そんな蔦重が手に風呂包みを抱え、新之助の部屋を訪れる姿は、噂になったことでしょう。「あの家は、裕福そうな商人から差し入れをもらっているに違いない」と。
蔦重が新之助に「みなさんにも配りたいところだが、足りないので内緒で」と米を渡しているとき、ふくの乳を目当てに訪れた乳飲み子を抱えた二人の女が家の戸を開けます。