大河「べらぼう」殺された母子と壮絶な将軍の最期〜江戸を襲った洪水が引き起こす無念の死【前編】 (6/6ページ)
だからと言って、仕方なかったでは済まされないでしょう。
二人の様子に、妻子を殺したことは許せないものの、貧困ゆえの動機に「この者は俺ではないか。俺は、どこの何に向かって怒ればよいのか」という新之助。一歩間違えば、貧困ゆえに自分も同じ間違いをしでかした…と感じたのでしょう。
赤ん坊の乳を分けてくれる恩人とその子の命を奪うとは。いくら世の中が悲惨な状態とはいえ、到底許せるものではありません。
もし、ふくなら、お世話になっている恩人の家に「米があるかも」などと卑しい邪推はしないと思いますし、それを夫に告げ口することもないでしょう。新之助なら、もし、そんな邪推を聞いても、強盗に入るような愚かな真似はしないでしょうし、ましてや妻子を殺すことも絶対にないはず。
「新之助よ、お前はその犯人とは違う。」と肩を揺さぶりたくなるほど、下手人夫婦には怒りを覚えた内容でした。
妻子を殺した下手人夫婦への怒りや憤りを、直接ぶつけられずに飲み込んでしまった新之助。燃え上がった行き場のない暗い炎はどこに何に向けられていくのでしょうか。
【後編】に続きます。
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