『べらぼう』蔦重による「エンタメの奇跡」に”煽りのプロ”がつい見せてしまった怒りの爆発【前編】 (5/6ページ)
今まで、平賀源内を破滅する罠を仕掛け、片棒を担いだ大工を簡単に斬り捨て、佐野政言(矢本悠馬)が田沼意知(宮沢氷魚)に悪意を持つようにデマを吹き込み斬らせ、「佐野大明神」を担ぎ上げ、「役人が犬を食えと言った」と煽動し、皆が「盗みを働くよう」煽り……という凄まじい仕掛けをしては「ニヤリ」と不気味な笑顔を見せていた「丈右衛門だった男」。
アジテート(煽動活動)とアサシネート(暗殺活動)に徹し、手際よくやりとげていたプロが、“初めて見せた感情の爆発”が印象に残りました。
片手に匕首を握りしめ、踊る蔦重を睨みつけながら人混みをかき分けていく「男」。剥き出しの匕首を持っていたら、誰かに止められるか悲鳴が上がり蔦重に気が付かれるだろうに。さらに、民衆の目の前で蔦重を刺したら、あっという間に取り押さえられるだろうし大勢に顔を覚えられるし……黒子だった「男」が、なぜこんなに感情をむき出しにしたのか。
唯一人間らしさを見せた“蔦重への剥き出しの怒り”が破滅にもしかしたら、「佐野大明神」を流行らせ「田沼潰し」ムードを盛り上げようとしたのに、蔦重が意知の“仇打ち”で出版した『江戸生艶気樺焼』の大ヒットで潰されたことを恨みに思っていたのかもしれません。