【べらぼう】蔦重が松平定信に”書をもって断固抗う”決意を込め実際に出版した黄表紙3冊を紹介 (6/6ページ)

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……ふんどしの守様、これでご満足でしょうか?

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山東京伝『時代世話二挺鼓(じだいせわ にちょうつづみ)』とは

山東京伝『時代世話二挺鼓』より、藤原秀郷に首を刎ねられ、七つの心(田沼家の七曜紋を暗示)が飛び出す平将門。

タイトル

時代とは時代劇、世話とは歌舞伎のジャンルで現代劇。すなわち「時代劇をモチーフにした時事ネタ」を暗示。

二挺鼓とは太鼓と鼓(つづみ)を同時に「打つ」技。打つは「討つ」にも通じるため……。

ストーリー

時は平安、坂東では平将門が「岡場所内裏」を作ろうと企んでおり、朝廷は俵「通」太こと藤原秀郷に討伐を命じます。

岡場所とは非合法の遊郭、ここでは非合法の内裏すなわち謀叛による偽朝廷を指しました。

秀郷は手勢を山に潜ませておき、まずは一人で将門と対面します。

「新皇様は早業の名人とうかがっていますが、それがしと勝負願いたい」

そこで将門は7人に分身して7人分の膾(なます)を刻むと、秀郷は八人前(スライサー)を取り出して8人分の膾を刻んで見せました。

……とまぁこんな具合に、ほか器楽・書道などと早業勝負を繰り返し、秀郷は将門を圧倒します。

「お前は7人に分身できると言うが、私は8人に分身できるのだ。この特殊な眼鏡で、真の姿を見るがいい」

秀郷から渡された細工眼鏡をかけると、確かに8人に見えました。

「さぁ。約束通り、この岡場所内裏は閉鎖して、売りに出させてもらおう」

往生際の悪い将門は、分身みんなで槍をとって秀郷に襲いかかるも、秀郷は千手観音のご加護で返り討ちに遭います。

秀郷が将門の首を刎ねると、中から7つの魂が飛び出していきました。

かくして叛乱は収まり、将門の霊は神田明神として祀られることになります。

解説

平将門のモデルは、意次の嫡男である田沼意知。首から飛び出した7つの魂は、田沼の家紋である七曜(しちよう)です。

俵藤太こと藤原秀郷は佐野政言の祖先であり、タイトルの「二挺鼓」は、田沼父子をまとめて「打つ(討つ)」意味が込められました。

また話中には遊郭文化が散りばめられ、紛い物の岡場所よりも、やっぱり本物(吉原遊郭)のよさ(洗練ぶり)が描かれています。

※平将門の首級について:

首級は本当に飛んだのか?日本三大怨霊のひとつ、平将門「怨霊伝説」の元ネタを紹介【前編】

終わりに

「……今春発売の『悦贔屓蝦夷押領』好評発売中につき、買ってくれたら嬉しいのだ」とか言い出しそうな春町先生。そしてこの顔である。NHK大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」公式サイトより。

今回は蔦重らが出版した3冊の黄表紙を紹介してきました。

どれもこれも、諷(あてこす)りのように「ふんどし野郎」こと松平定信をヨイショしていますが、この「穿ち」は果たして野暮天どもに通じるでしょうか。

このうち『文武二道万石通』については、後に絶版処分を受けてしまい、朋誠堂喜三二は筆を折ることになります。

また恋川春町も後に『鸚鵡返文武二道(おうむがえし ぶんぶのふたみち)』を出版したことにより、戯作者生命を絶たれてしまいました。

果たして蔦重たちの闘いは、どのような結末を迎えるのでしょうか。手に汗を握る展開が続きそうです。

※参考文献:

恋川春町『悦贔屓蝦夷押領』早稲田大学図書館・古典籍総合データベース 朋誠堂喜三二『文武二道万石通 3巻』国立国会図書館デジタルコレクション 山東京伝『時代世話二挺鼓 2巻』国立国会図書館デジタルコレクション

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