なぜ「鰹節」にカビをつけるのか?江戸時代の日本で完成した画期的な発酵の知恵 (3/3ページ)
そしてこの時期に築かれた技法と味覚が、現代の和食にそのまま受け継がれているのです。
実は外国にもある鰹文化実は、鰹を乾燥させて保存する文化は日本だけではありません。インド洋のモルジブでは「ヒキ・マス」と呼ばれる保存食があり、1300年代には海外輸出もされていました。日本と南の島、遠く離れた地域が同じ魚を工夫して利用していたなんて、ちょっと不思議ですね。
こうして振り返ると、鰹節はただのだしの材料ではありません。古代の献上品であり、戦国時代の武士を支えた兵糧であり、江戸時代に洗練された食文化の礎でもありました。その存在は、いつの時代も人々の暮らしに深く関わってきたのです。
だからこそ、私たちが日々飲む味噌汁の一杯には、千年を超える知恵と工夫の歴史が溶け込んでいます。そう思いながら箸を手に取ると、普段の食事も少し特別なものに感じられるのではないでしょうか。
参考文献 :宮下章『ものと人間の文化史シリーズ97 鰹節』(2000 法政大学出版局)
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