2024年紅麹事案 研究解説記事⑩「「紅麹原料」は存在しない――小林製薬大阪工場が製造していたのは食品衛生法上の「食品(紅麹)」である――」 (5/6ページ)
「事実と異なる、または紛らわしい表示」として是正の対象になり得る
■ 観点③ 表示責任者・製造者の責任(受託メーカーの過失)
「小林製薬からそう呼ぶよう指示された」というOEM特有の事情があっても、法的には表示責任者(または製造者)がその表示の正当性を担保しなければならない。
▶ 製造を請け負うプロが、法的に不適切な名称であることを知りながら「紅麹原料」としてラベルを貼り流通させた場合、不適切な表示への共同関与とみなされる
▶ OEM受託の現場において「発注者の指示だから」は食品表示法上の免責事由にはならない
「商品名だから自由だ」という理屈は、食品表示の厳格なルールの前では通用しない。「紅麹原料」という名称が食品表示基準第3条の「一般的な名称」要件を満たさない以上、この語を名称欄・取引書類・行政文書に使用し続けることは、食品表示法違反の問題を内包し続けることを意味する。
6.行政に求める——正確な用語への修正
厚生労働省・消費者庁・農林水産省は2024年3月以降、「紅麹原料」という語を用いた通知・Q&A・プレスリリースを多数発出した。これらの文書において「紅麹原料」という造語を使い続けることは、以下の理由から問題である。
▶ 法的根拠のない語の公文書への使用:「紅麹原料」は食品衛生法上の業種区分に存在せず、行政文書に使用する法的根拠がない
▶ 誤認識の公的固定:行政文書が「紅麹原料」という語を使い続けることで、「紅麹=特殊な工業原材料」という誤認識が社会に定着し続ける
▶ 風評被害の加重:法的根拠のない語の使用が、紅麹食文化全体への不当な風評被害を継続させる要因となっている
行政に求める:「紅麹原料」という語の使用を中止し、「紅麹(食品)」という法的に正確な表現に修正すること。また、「紅麹原料使用業者」という表現についても同様に修正すること。