2024年紅麹事案 研究解説「我々紅麹業界に何が起こったか」検体表が証明する同一性の欠如——検体の由来と同一性の欠如—— (2/5ページ)
前号(㉞)掲載の検体表に、各検体間の同一性の状況を加えた。
[資料: https://files.value-press.com/czMjYXJ0aWNsZSM4NzA5MSMzNzMzNTQjMzczMzU0XzAxYTQ1ZDYyMzg0ZWIzZGY2YmE3ZTUxOTkyNzlkZDU1LnBuZw.png ]
上表の「同一性の状況」列に示した通り、①→②、①→③、⑤→④、⑥→④の四か所に断絶が存在し、③と④の同一視についても後述の通り独立性の問題がある。
2 断絶①:①と②の非接続
①は、小林製薬が自社試験で「ピークX」として同定したとされる試料であり、2024年3月28日に同定を報告した。②は7日間反復経口投与毒性試験の被験物質として試験施設に送付された物質である(2024年3月29日〜)。
しかし②の検体情報欄には「分析情報記載なし」とある。①と②が同一物質であることを示す分析記録は公開されていない。動物実験に使われた物質が何であったかを独立して確認する手段が、現時点では存在しない。
3 断絶②:①と③の非接続
③(B1)は、小林製薬が2024年3月30日にNIHSへ送付した「プベルル酸単離品」である。「ピークX由来」とされているが、①(社内同定試料)との同一性を確認する独立した記録は示されていない。
小林製薬は「ピークX」を単離したとし、その単離品をB1としてNIHSに送付したとしているが、この一連の過程に第三者の確認は存在せず、NIHSは送付を受けた時点ですでに小林製薬の説明を前提に受理していることになる。
4 断絶③:③と④の「同一視」の問題
NIHSは③(B1)と④(B2、北里大学合成品)をNMR・UHPLC/HRMSで比較し、「一致した」と判断している。