小林製薬紅麹事件研究解説青カビ説の崩壊——小林製薬自身の説明が内包する「現場の常識」への根本的矛盾 (2/5ページ)
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(出典:KHB東日本放送報道 2024年4月12日、小林製薬の行政報告に基づく)
■ ② 「床落下品出荷」が示す組織的問題
この事実を食品製造現場の経営者として読んだとき、まず浮かぶのは「なぜ従業員がそのような判断をしたのか」という疑問ではない。
現場の従業員が、床に落ちた食品原料をすくい取って製品化するという判断を自発的に行うことは、通常の食品工場ではあり得ない。「もったいない」という発想でそのような行動をとるとすれば、それは経営側からの暗黙の圧力、あるいは組織的な意思決定の下でのみ生じる。
従業員は、食の安全という観点では最前線にいる。食品の品質異常・衛生上の問題を誰よりも早く察知するのは現場の作業者である。「床に落ちたものを出荷してはならない」は、法令や規程以前の、職業人としての常識である。この常識に反する行動が組織として行われたということは、品質管理文化そのものの崩壊を示している。
■ ③ 「青カビはある程度は混じることがある」——品質管理担当者発言の意味
事実検証委員会報告書(2024年7月23日)および日経新聞の報道(同日)によれば:
「紅麹培養タンクへの青カビ付着を認識しながら、製造現場が放置していた」
「この関係者が品質管理担当者に報告したところ、『青カビはある程度は混じることがある』と告げられたという」
(出典:日本経済新聞 2024年7月23日)
この記述は、食品製造に携わる者であれば誰もが即座に「あり得ない」と感じる内容である。