なぜ日本はタバコが専売制になったのか?“印紙”を貼っても止まらなかった脱税タバコの実態と産業保護 (2/3ページ)
政府歳入が七千万円前後だった時期に、タバコ税のシェアは三%ほどで、業界規模に比べて税収が伸び悩んでいたことがわかります。
こうした状況から、印紙方式では脱税を防ぎきれないという問題が明確になっていきました。
葉タバコの完全買い上げへさて日清戦争後、日本はロシアとの対立が深まり、軍備拡張のための財源確保が急務となります。
そこで政府は明治二十九年、タバコ税の抜本改革として葉タバコの専売制を導入します。葉タバコをすべて政府が買い上げ、買取価格に九六%の専売収入率を加えて製造業者に売り渡す方式が採られたのです。
この仕組みにより、政府はどの農家がどれだけ葉タバコを栽培しているかを把握できるようになり、脱税の余地が大幅に減りました。
それまで葉タバコの生産は自由で、誰がどれだけ作っているか把握することは困難でした。密造タバコに葉タバコが流れても発見しにくい状況が続いていたのです。
しかし、葉タバコをすべて政府が買い上げる方式に変わると、契約農家以外の畑で栽培が見つかれば、それがそのまま「密栽培」の証拠となります。
完全に脱税を防げたわけではありませんが、市場に堂々と出回る脱税タバコは大幅に減ったと考えられます。専売制は、脱税防止の観点から非常に効果的な仕組みだったのです。