若者の「梅離れ」に挑む異業種出身社長の逆転発想――規格外梅は資源になるか?産地が直面する「価値再編」 (3/3ページ)

佐藤氏は「梅業界にはまだ活用しきれていない素材が多く残されている」と話す。主原料だけでなく副産物まで含めて価値を見直すことが、産業全体の持続性向上につながるという考えだ。
一方で、副産物活用は商品化できれば成立するという単純な話ではない。消費者に新しい用途を浸透させるには時間を要し、市場形成の難しさも伴う。素材の価値をどう伝えるかが今後の課題となる。
伝統産業は変われるか――外部人材がもたらす視点地域産業では、長年培われた技術や商習慣が強みとなる一方で、新たな発想が入りにくいという側面もある。
佐藤氏はもともと梅干し業界の出身ではない。同氏は異業種から参入した立場だからこそ、「梅の価値が十分に伝わっていないのではないか」と感じたという。
地方の食品産業では、生産者の高齢化や後継者不足が全国的な課題となっている。農林水産省の「2020年農林業センサス」によると、基幹的農業従事者の平均年齢は67.8歳で、65歳以上が全体の7割近くを占める。農業経営体数も長期的な減少傾向が続いており、産地の維持そのものが問われる局面に入っているとみられる。
こうした状況下では、従来の販売方法や商品構成だけで市場を維持することは難しくなる可能性がある。規格外品や副産物の活用、新しい販路の開拓、若年層への訴求など、多面的な取り組みが求められる。
ただし、商品開発だけで地域産業の持続性が担保されるわけではない。産地に生産者が残り続けるか、地域内の商流や雇用が維持されるかといった課題も存在する。梅産業の将来は、新たな価値創出と産地基盤の維持を両立できるかにかかっているといえそうだ。
【取材協力】
株式会社梅星食品代表取締役 佐藤悦弘氏
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