若者の「梅離れ」に挑む異業種出身社長の逆転発想――規格外梅は資源になるか?産地が直面する「価値再編」 (2/3ページ)
規格外品は「損失」か――雹害梅を商品化した発想

農産物の世界では、品質に問題がなくても見た目によって市場価格が大きく左右されるケースが少なくない。特に果実類では傷や変色によって規格外品となり、流通価値が下がることがある。
梅星食品が展開する「鬼梅」は、こうした課題への一つのアプローチである。紀州南高梅の梅肉を一口サイズのパウチに加工した商品で、仕事中や運転中などにも手軽に摂取できる形態を採用している。

同社によると、開発の背景には雹被害によって傷がついた梅の存在があった。外観評価では不利になるものの、果肉自体の品質に問題がないケースも多いという。ペースト加工によって外観評価の影響を受けにくくし、原料価値を維持する狙いがある。
食品ロス削減への関心が高まるなか、こうした加工技術を活用したアップサイクルは他の農産物分野でも広がりつつある。規格外品を廃棄対象ではなく資源として捉える考え方は、今後の農業経営において重要性を増す可能性がある。
もっとも、規格外品活用だけで産地全体の収益改善につながるかは未知数である。加工コストや販路開拓の負担もあり、継続的な需要創出が不可欠となる。
副産物は埋もれた資源か――梅酢活用が示す可能性食品産業では主原料に注目が集まる一方、副産物の扱いが課題となることも多い。梅加工においては、梅を塩漬けする過程で生まれる「梅酢」がその一例である。
梅星食品が販売する「ウメスコ」は、この梅酢を活用した辛味調味料である。梅の酸味と唐辛子の刺激を組み合わせた商品で、同社は梅酢の新たな用途開発として位置づけている。
一般的に梅酢は塩分濃度が高く用途が限られるとされるが、食品ロス削減や循環型社会への関心が高まるなかで、副産物の再活用は多くの食品メーカーに共通するテーマとなっている。